奇跡の跳弾射撃!死神の鉄槌 『 ゴルゴ13 』 Target.19 『 硝子の要塞 』を視聴。
まあ・・まずまずといった出来じゃないかな?というのが感想。
少し違和感が無い訳ではなかったんですが、問題はない範囲じゃないかなと。
あの硝子の要塞と奇跡の跳弾射撃を、どう描写するかが楽しみでしたので。
ウォルトンを演じているのが「野島昭生」さん。何かこの方の声って久しぶりに、お聞きした気もします。
実際には色々と見てるんだけどなあ・・何故か、そう思います。
この方ってバンドのスラップスティックのイメージも強いですねえ。昔、LPを持ってたんだっけな。
メンバーが神谷明さん、曽我部和恭さん、古川登志夫さん、古谷徹さん・・今から考えても凄いメンバーだったなあ・・。
私が覚えてるのだと「名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌」の深山総一郎とか、
「無敵超人ザンボット3」の神一太郎とか、
「ベルサイユのばら」のベルナール・シャトレとか・・古いな〜^^;
マニアック所で、「合身戦隊メカンダーロボ」の敷島竜介とか、
「新・巨人の星」の田淵幸一とか・・う〜ん・・知ってる方って居るんだろうか?
ドハティを演じてるのが「小林修」さん。渋い声の方ですよね。 この方ですと、やはり「宇宙戦艦ヤマト」シリーズでしょうね。
「宇宙戦艦ヤマト」のドメル将軍を皮切りに、
「さらば宇宙戦艦ヤマト」のズォーダー大帝、
「ヤマトよ永遠に」の山南・ヤマト三代目艦長(ヤマトの艦長って死ぬ運命だよな^^;)、
「ヤマト完結編」の水谷・駆逐艦冬月艦長、
「宇宙戦艦ヤマトV」の団彦次郎等々、ヤマトシリーズには欠かせない声優さんです。
あとは「戦国魔神ゴーショーグン」のサバラス、
「機甲界ガリアン」のアズベス、
忘れてはいけないのが「銀河英雄伝説」のオットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵でしょうね。
奥さんのメリンダを演じてるのが「前田敏子」さん。
私は「六神合体ゴッドマーズ」の明神静子(タケル〜ばっかだったような)とか、
「宝島」のカレン・ホーキンズぐらいしか記憶にないですが、母親とか年配役の多いベテラン声優さんですね。
まあ・・どっちも主人公の母親役ではあるんですが・・^^;
JJを演じてるのが「家中宏」さん。よく聞く声なんですけどね・・すぐに思い出せません。
最近の仮面ライダーシリーズなんかでも(555とか電王とか)聞いた記憶があるんですが・・
何の役だっただろ・・と考えてて、一人思い出しました。
「BPSバトルプログラマーシラセ」の秋月郁(かおる)してたっけ。
結構、色んな作品でチョイ役出演されてるんですが・・
娘のバニッサを演じてたのが「榎本温子」さん。名前は聞き覚えがあるのですが・・ちょっと解りませんね〜^^;
ちょい役のリベラを「藤本譲」さん・・なんと豪華キャスティングなんだかな〜。ゴルゴでは二度目の出演になるかな。
前回は第6話の署長役でしたね。あの時は「菅生隆之」さんがメインでしたっけ。
今回のあらすじですが・・
人工島に浮かぶ別荘。
その主であるウォルトンは、ドナーコーディネーターとして不正に臓器移植を斡旋し、国際的なテロリスト集団に金銭援助をしていた。
MI6はゴルゴに、ウォルトンとその腹心J・J殺害を依頼する。
しかし、ウォルトン達が籠もるその館は、三重にもなる鉄壁の防弾硝子に囲まれていた。
360度、狙撃不可能なこの要塞を打破する方法とは果たして?
SPコミック130巻、別冊No.133に収録された短編です。
本編ではJJの殺害依頼は無かったので、何故依頼したのかの説明は無いですが、まあ・・許容範囲内ということで。
でもまあ・・何故でしょうね?
さて本編を・・
ヘリが海上を飛んでいる・・ある人工島を目指して。イングランドとスコットランドの間にある人工島イル・ド・ヴォワルル(硝子の島)。
アイルランドやウェールズ地方に伝わるケルト神話に出て来る楽土の島の名。
永遠の命を持つ妖精「シー」の住むと謳われた島に因む不死の妖精王を気取る
スコットランドの貴族を隠れ蓑にした臓器商人ウォルトンの、悪夢の臓器養殖島。
そのヘリは人工島を見にきた客の為に製作した業者が飛ばしたものだった。
そして、その客というのが・・ゴルゴだった。彼は、ある狙撃依頼を受け、この島を下見に来たのだった。
「あの島は、丁度イングランドとスコットランドの中間に位置しております。
これから御覧戴く建物は、スコットランドの貴族が保養地として注文された物で、
テロ対策に防弾ガラスという御希望でしたが、日本は安全ですから、ステンドグラス仕様というのも如何かと。
あの島は人工島ですが、御客様は既に島をお持ちの分、お安く出来ますし、
例えば、サンルーフの屋根をステンドグラス、周囲の壁をミラーグラス仕様というのは如何でしょう?
あ・・御覧下さい。人工島が見えてきましたわ?
Mr.東郷。あれがわが社の自信作、イル・ド・ヴォワルル、通称硝子の要塞です。」
後部座席に座るゴルゴが、サングラスを外す。その目は鋭く、硝子の要塞を睨みつけていた。
OPENING。
人工島の中のプールで、無邪気に戯れる若い健康な女性達。
その中に一際美しいブロンドの女性が居た。それを見つめるウォルトンやJJ達。
「ブロンドの蒼い水着の女性。あれが今度のドナー、ロージー・コックスですな?Mr.ウォルトン。」
「うむ・・生き生きと美しい。ここへ来た頃の青ざめて、やせ細った面影は、もう何処にもない。」
「ええ・・まさしく美の妖精です。」
ウォルトンに感謝するロージー。だがウォルトンの真の姿を彼女は知らなかった。
「おめでとうロージー。元気に島を出る日が来たぞ?」
ロージーは島を出た後、真実を知り逃げるも、そこは海の船の中。
何処にも逃げ場所は無かった。彼女は・・海へと身を投げ、その命を散らした・・。
そしてマニラの保養施設で入院する妻メリンダと共に居るドハティの姿があった。
彼は、妻の為に心臓移植出来る様、この保養所でドナーを待っていたのだった。
「マニラに静養に来て、もう半年になるなあ。故郷のベルファストが懐かしくならないか?メリンダ。」
「ええ・・少しは。でも、お陰で冬を越すのは楽でしたわ。この冬を越すのはムリだと思っていましたのに。」
「・・Drから心臓移植の話は聞いたかね?」
「ええ・・でも、自分の身体に、他の人の臓器を入れるなんて・・まるで怪物のようで・・私には気味が悪くて・・」
「それが、医学の進歩というものだよ・・メリンダ。」
「先生のお話だと、ドナーは男性が多いそうで、私のような小さい女には、サイズが合わないそうです。
私の体質に適合し、しかも女性からの臓器提供が受けられれば良いそうですが・・。」
「メリンダ。私は全財産を投げ打ってでも、君に移植手術を受けさせるつもりだ。」
「・・あなた・・私は幸せな女ですわ。夫に、こんなにも愛されて・・。」
「一人娘のバニッサが家を出た今、私には君が唯一の家族なんだ。君がいなくなっては、私はひとりぼっちになってしまう。」
「あの娘が家を出て・・もう5年になりますのね・・ 元気でいてくれればいいんですけど。」
「ああ、大丈夫だ。便りの無いのは、良い便りだ。きっと元気にしているさ。」
「そうですわね・・。」
そんな二人の居る近くの岸に、一人の女性の溺死体が流れ着く。それはロージーの無残な姿だった。
だが、この時ドハティは・・この見ず知らずの女性が自分に深く関わる事を全く知らなかった・・。
後日、ウォルトンの下へ、臓器を依頼していたリベラ院長が謝罪に来ていた。
「ガルシアのミスは、申し訳なかった。移送途中にドナーが、臓器密売の話を聞いてしまって、逃げ出して船から飛び降りたらしい。」
「それで今回は、院長直々に、おいで下さったという訳ですか?」
「マニラ市警とマスコミには手を回して、アメリカ人観光客の事故死・・という事にしておいたが。」
「ドナーの方は、ご心配なく。来週また補充に行かせます。」
「すまない・・またコーディネートは宜しく頼むよ、Mr・ウォルトン。
何しろ、君が提供してくれる臓器は健康状態が最高で、安心して買える。特に女性の臓器は貴重品だ。」
「まあ・・万事お任せ下さい、リベラ院長。」
その時、上空のヘリに気付くリベラは、ウォルトンに尋ねた。
「おっ?あのヘリは?」
「ああ・・ドリーン・コーポレーションのヘリコプターですね。この島を作った建設会社ですよ。
日本から来た客が、ここと同じような別荘が欲しいとかで、この島を見せたいが構わないか?と問い合わせがありましてね。」
「随分と余裕じゃないか。我々の関係や、この島の秘密を知られては一大事だというのに。」
「なあに・・彼等は、この島を只の保養地だと思っていますよ。上空を飛ぶだけなら、断る方が却って怪しまれる。」
「しかし、君は反政府テロ組織に資金提供してるそうじゃないか?」
顔色の変わるウォルトンの眼光が光る。慌てるリベラ。
「あはは・・これは失礼。 しかしだね?もし万が一、あのヘリから狙撃でもされたら?」
懸念を言うリベラにJJが、ノートパソコンを持ち出し説明をする。
「ご心配には及びません。Mr.ウォルトンは、此処に居るのが一番安全です。 ご説明致しましょう。
この島を囲っているガラスは、全て三重構造の特殊防弾ガラスです。
海からも、ソナーシステムと、ガラスの壁が。 空からは、ガラスの屋根が護ってくれてます。」
「しかしプールの上には、屋根が無いじゃないか?」
「完全に空間を密閉してしまうと、女達がストレスを溜めてしまうんですよ。」
「・・それでは完璧に安全とは言い切れないじゃないのかね?」
「では、これを御覧下さい。この通リ、どのような角度から狙っても、この建物の内部は死角になるように設計されているんです。」
「JJはオリンピックでゴールドメダルを取った程の射撃の達人でね。
その彼が立ち会って設計させたのが、この島です。この硝子の島に居る限り、私は百%安全なんですよ、リベラ院長。」
「だが・・しかし、あらゆる可能性を検討すれば、百%とは言い切れない部分もあるんではありませんか?」
「どういう意味です?」
「跳弾なら・・どうです?」
「・・跳弾?」
「ああ・・幾ら死角でも、跳弾なら建物の中を狙えるんではないですかな?」
「あ・・本当か?」
「ええ。ビリヤードのバンクショットの要領で。このように反射を利用して、弾を飛ばすのです。」
「それなら例えば・・プールの水面を利用して、弾を跳ね返せれば?」
「そんな事が可能なのか?」
「ええ・・理論的には。ただ実際には、私の射撃の技術を持ってしても、果たして・・それが出来るかどうかは疑問ですが・・
しかし御覧の通り、例え跳弾で狙った場合でも、せいぜい、この温室の天井に当てる程度でしかありません。
コンピューターが弾き出した結果、跳弾でも・・Mr.ウォルトンを狙う事は不可能なのです。」
「なるほど・・それなら完璧だ。」
「お前が居る限り、私は安心だよ・・JJ。」
上空から硝子の要塞を観察し続けるゴルゴ。そんなゴルゴに業者が声を掛ける。
「もう戻っても宜しいですか?Mr.東郷。」
「・・ああ。」
海からも、空からも狙撃不可能。正に鉄壁の硝子の要塞という訳か・・。
その場を後にするヘリ。ゴルゴは果たして、この不可能をどう克服するのか?
前半終了。
後日、ドハティが、硝子の要塞を訪れた。ウォルトンに逢う為に。彼には、どうしても逢わなければならない用件があったのだ。
何かの決意を固め、ベルトのバックルを握り締めるドハティであった。
島に着くと、JJの念入りなボディチェックを受け、島へと足を踏み入れる。
「おおっ?これはこれは・・Mr.ドハティ。貴方が、此処に来るのは初めてでしたね?
奥様のドナーコーディネートを依頼された時も電話だけでしたから。」
「君は、この島から一歩たりとも出ないそうなんでね?君に逢う為には、直接やって来るしかなかったよ。」
「今日、来られたのはメリンダ婦人の事ですね。
いえ・・ドナーは見つかったんですが、輸送途中に商品に事故がありまして・・もう少し時間を・・ん?」
「・・この私が・・シャイロックと手を組む事になるとはなっ!?」
「シャイロック?・・確かシェイクスピアの劇に登場する悪徳商人の名前ですね。 私が、そうだとでも?」
「君を臓器の密売人とも知らずに此処に居るあの娘達は、君に養殖された魚だ。」
「彼女達が気の毒だと?」
「んん?」
「ふふふふ・・元々、死んだも同然の女達ですよ?その臓器を売るのは罪なんですか?」
「君には良心の呵責というものは無いのか?」
「良いでしょう。それを罪と仰るなら、私は罪人で構わない。
しかし・・人は皆、生きる為に罪を背負うものではないですか?ギリシャ神話のシディフォスのようにね?
私も今や、こんな身体です。彼女達がいなければ私自身が何年も生きられない。
貴方だって奥様の為に、心臓移植のドナー提供を望んだのではありませんか?Mr.ドハティ?」
声を失うドハティ。そこへ・・上空にヘリが?それに乗るはゴルゴ。
上空をパイロットに周回させながら射撃準備をしつつ・・ゴルゴはMI6から依頼された時の事を思い起こしていた。
「ターゲットは、その二人です。ファーガス・ウォルトンと、その腹心のJJ。ウォルトンは、国際的なテロ組織に資金を提供しているんです。
テロリストの資金源を断たなければ・・何千人という人命を奪う大惨事が起こるでしょう。」
「・・で?何故、オレに?」
「証拠が何もないからです。それに何よりも、あの島は鉄壁の要塞です。
あの硝子の要塞を撃ち破れるのは、死神を除いては貴方しかいないんです。どうか・・依頼を引き受けて戴きたい・・。」
ゴルゴはヘリの覗き窓を開けると、M16を構えてパイロットへ指示をした。
「島の上を、ゆっくりと旋回してくれ。」
「へ〜いへい。仰せの通りに。」
その頃、ドハティは胸ポケットより手紙を取り出し、ウォルトンに見せた。
その手紙、そして同封されていた写真は死んだロージーのものだった。
驚きを隠せないウォルトンは手紙を読む・・。麻薬でボロボロになって、運ばれて来た時の事を思い出しながら・・。
『パパ?ママ?お元気ですか?永い間、連絡しなくてごめんなさい。
女優になりたくてロンドンに出てきたけれど、ロージー・コックスという偽名を使って整形手術までしたのに、
全然、役は貰えず・・とてもパパ達にあわす顔が無かった・・。
でもウォルトン様という貴族の方が、硝子で出来た美しい保養地に私を連れてってくださって、
更生させてくれた上に、フィリピンの映画だけど、仕事までお世話して下さいました。
最初の映画が出来たら、きっと家に帰ります。整形した後の顔写真を同封しますね?
貴方達の娘、バニッサ。』
「ロージー・コックスは私の娘だ!私の娘バニッサだっ!
マニラ湾で彼女の死体が上がった時は、私はそれがバニッサだとは知らなかった。
ベルファストの自宅に戻ると、そのエアメールが・・郵便受けに届いていた。
その手紙を読んだ時の・・その手紙を読んだ時の、私の気持ちが解るかっ!?
・・親子なら確かに、移植に適したドナーだったろう。
親子と知らずに・・バニッサを選んだアンタは、図らずも・・ドナーコーディネーターとしての優秀な腕を証明した訳だ。
だが、今は・・寧ろ死んでくれて良かったとすら思っている。
さもなければ妻は・・自分の娘から抉り取られた心臓を移植する処だったぁ。
ああ・・考えただけでも恐ろしい。そんな残酷な事が・・うううう(泣声)」
膝を落とし、嘆き哀しむドハティ。黙って見つめるウォルトンとJJ。
そしてゴルゴは、その場面をスコープに捉えていた。
「旋回しろ・・ゆっくりだ・・。」
「一体どうするつもりだい?あそこは三重の防弾ガラスで出来てるんだろ?
それをどうやって・・解ったよ。俺は黙って飛ばしてりゃいいんだろ?」
「この高度を保って・・ゆっくり旋回してくれ・・。」
「へ〜いへい。仰せの通りに。」
ゴルゴのスコープは・・室内プールへと向けられていた・・。
そしてドハティは決意を固めたかの様に立ち上がると、ウォルトンを睨みつけた。
「わ・・私を、どうしようというのかね?」
「決まっているだろう?お前は・・お前は生きていてはいけないのだあああっ!」
ドハティはベルトのバックルに仕込んだ隠しナイフを取り出し、飛び掛る。
バキュ〜ン。その時、JJの銃から討たれた弾がドハティの腕を撃ち抜く。ドハティはナイフを落とし、右腕を左手を押さえる。
高笑いするウォルトン。だが・・その勝利感も僅かの事だった。
「あの世で死神にでも頼む事ですね?Mr.ドハティ。アハハハハ・・う?」
「「え?」」
ズキュ〜ン!何処からか飛んできた銃弾がウォルトンの、こめかみを貫く。車椅子から崩れ落ちるウォルトン。
驚くJJとドハティ。慌ててJJは辺りを見回す。入り口にはプールが・・そして、その上にはヘリが?
「何処だ?何処から撃ってきた?・・ちょ、跳弾だ。跳弾が飛び込んできたんだ。」
ヘリのパイロットも驚きを隠せない。
「あ、あんた・・一体どうやって?」
「もう一度、廻せ・・。」
ヘリは旋回しはじめる。
「し、しかし・・コンピューターでさえ不可能とでた跳弾の角度を・・一体どうやって?」
プールの女性達は慌てて逃げ始める。プールの水面は荒れ始める。
「あ・・そうか。波だっ!女達の作る波の角度を利用して、跳弾の反射角を変化させたんだっ!
しかし・・しかし、そんな事が出来る人間が、この世に居る筈が・・偶然だ。偶然のマグレ当りだ。」
一層、激しくなるプールの波。驚愕で信じられないJJ。
ズキュ〜ン!そして・・再度、放たれるゴルゴの銃撃は、波で弾かれ、JJの額を貫いた。
ゆっくりと驚きを隠せずに倒れ伏すJJ。飛び去って行くヘリ。そして、ドハティは・・神の奇跡を感じていた。
「あ・・マグレじゃ・・無かった・・」
「・・き、奇跡だっ!神の奇跡というほか・・」
呆然と右手を押さえながら、上空を見上げるドハティだった。去ってゆくヘリを見つめながら・・ただ呆然と・・。
マニラに戻ったドハティは、泣いている妻メリンダの手を取り、慰める。
そして優しい嘘をつく・・妻の為に・・哀しくも言えない真実を隠す為に。
「最近は・・移植手術の話は、なされないんですね。私が例え、明日死んでも・・十分幸せですわ?
貴方に、こんなに愛されて死ねるんですもの・・。それに・・バニッサは今頃、何処に・・(泣声)」
「大丈夫だ、メリンダ。あの娘は、きっと元気にしているよ。 便りの無いのは、良い便りだ。」
「そうね・・そうですわね・・私達の娘ですものね・・。」
「ああ・・」
奇麗な青空にはカモメが優しい泣き声をあげながら空を舞っていた。
二人の想いを・・慰めるかのように・・嘆きを隠すかのように・・END。
ENDING。
という話でした。
ドハティ、メリンダ夫婦には余りにも辛い結末ですが、妻も、夫が隠している嘘を察し、多分、真実に気付いていたのでしょうね。
ただ夫の、その自分を想う優しい気持ちを慮って、泣いたのでしょう。
ドナーが自分の娘だったなどと言える筈もない夫の苦悩を思えば・・。
でなければ、あれほど熱心に勧めていた心臓移植手術を・・そんな不幸は、ありませんからね・・。
だから、この親子にとっては・・きっと、これで良かったのでしょう。
幾つか原作と差異はありました。原作ではドハティはIRAの一員ですしね。
それにJJが席を外した際に、ドハティが娘の事を暴露し、ウォルトンに襲い掛かるのですが、ずっとJJは傍に居ましたからねえ。
この辺りも違和感。JJも依頼に入ってたのが、もっと違和感でした。
ですが今回の話はウォルトンがメインではなく、やはりドハティ親娘でしょう。
ドハティの父として夫としての苦悩が、小林修さんの演技で盛り上がります。実に上手く表現できてたと思います。
私もグッとくるものがありました。子供を持つ親に取って、これほど共感出来る心情はありませんから。
私も、逆なら・・自分の心臓を、子供に移植するだろうなあ・・。親としての感情を、哀しさを味合わせて貰えたエピソードでした。
映像になると、こんなに違う感覚を覚えるとは意外でしたけれど、他の方の評価がどうであれ、私は今作は良作だと思っています。
さて次回は?
「ただ、ひたすら・・待ち続ける孤独な女がいる。
殺人逃亡犯である夫が、自分の元に帰ってくると固く信じて。
地中海マルタ島に、ゴルゴの非情の銃声が響く。
次回ゴルゴ13『 メランコリー・夏(サマー) 』 ヤツの後ろに立つな!命が惜しければ!」
あれ?・・これも聞いた事はあるんだけど、かなり古そうですね。どんなエピソードだったか・・これも次回の楽しみって事で。ではまた^^