死神に縋る女との哀しき出会い 

『 ゴルゴ13 』 Target.41 『 ペチコートレーンの夜霧 』を視聴。

 

今回の話って、なかなか奥は深いとは思うんですが・・こういった話って、自分のツボに嵌ると堪らないんですけどね〜。

 

哀しき女性レッド・ペッパーを演じるのが「小林優子」さん。

結構、印象的な声の方で、少年役から少女、大人と幅広い役をされてますね。

でも、いざ役名をとなると・・意外に思い浮かびません。かなり聞き覚えのある方なんですが・・済みません。

 

 

さて、あらすじですが・・

 

 

ロンドンの下町、ペチコートレーンの安酒場で、酒を飲んでいたゴルゴ。

そこへ、一人の女が入店してくる。地元の不良たちにからまれおびえる女だったが、ゴルゴは見向きもしない。

店を出たゴルゴを追いかけ、自分を買わないかと声をかける女。その時、正体不明の男たちが突如二人に襲いかかってくる。

男たちを避けるため、ゴルゴと女は街にもぐりこんでいくが・・・。霧の街が朝を迎えたとき、全ての謎は明らかになる!

 

 

 

本編

 

 

 

イギリス、ロンドン。

ロシア大使館の外交官、ワレリー・ビロゼルチェフは、とあるレストランで家族と一緒に夕食を取っていた。

そこへ一本の電話が入る。それはエレナ・サボーからのものだった。

一人、席を外して車で立ち去るワレリー。それを赤い車が、その後を追う。

エレナは彼の愛人であり、そして・・。ワレリーはエレナと落ち合い、彼女と情事の後、余韻に包まれる。

 

 

「ほっといていいの?・・家族の事」

「国への奉公が大事だろ?」

「じゃあ、私の身体を貪る事が大事じゃないの?」

「はは・・それも勿論、大事さ」

「ふふ・・これがファーガソン事務次官のスタッフのリストと事務所の見取り図ね?

 欲しいのは、彼の次の交渉相手が誰か? 何時何処で行われるかという事」

「仕事の話になると、素っ気無いな?」

「終わったら、またサービスしてあげるわ」

 

 

ガチャッ!

いきなり部屋の扉が開き、いきなり二人を射殺した。サイレンサー特有のプシュっという音が続けて響く・・2発。

 

 

「誰だっ?・・ぐわあっ?」

「ぐっ・・」

 

 

そして、少しして・・もう2発、止めを刺したのだろうか? コツコツ・・ゆっくりと立ち去っていく靴音。

 

暫くして、そこは警官で騒然としていた。鳴り響くサイレン、そして報告の無線が飛び交う。

 

 

『場所はウエイントン通りの34番、ガイ者のモノと思われる車輌がある。ナンバーはFN34NOK・・所有者を確認してくれ』

 

 

現場検証の指揮を執る刑事が部下から報告を受けていた。

 

 

「殺された女性の名前は、所持品からエレナ・サボー、31歳。ルーマニア国籍となっています。

 しかし不信な点が多く、偽名である可能性が高いでしょう。男の方は、ワレリー・ビロゼルチェフ、ロシア大使館の外交官です」

「眉間と心臓に一発ずつか・・そこらのチンピラの仕業じゃねえぞ」

「そうですね」

「目撃者は?」

「今のところは・・まだ」

「もし居たのなら、警察で保護する様に伝えろ。命を狙われる可能性がある」

「判りました」

 

 

その刑事が立ち去った後、入れ違いに別の警官が報告に来る。

 

 

「ロシア大使館と連絡が取れました。確かにビロゼルチェフ外交官だそうです。家族への連絡は大使館からするそうです」

「それは助かる・・残された家族に愛人との情事の最中、射殺されたなんて、俺には伝えられん・・」

 

 

二人を射殺したのは何者なのか?

そして、ゴルゴと何か関係があるのだろうか?

 

 

 

OPENING

 

 

 

霧の夜のロンドンは、大掛かりな検問が行われていた。そんな最中、ペチコートレーンを歩くゴルゴは酒場に入る。

中ではビリヤードを楽しむ男達が大勢居た。ゴルゴはカウンターの奥で水割りを黙って飲み始める。

そこに一人の女性が入って来た・・辺りを見て怯えるかのように。彼女に絡む二人組のチンピラ・・それを助けるマスター。

 

 

「・・お前さん、旅行者だろ?」

「・・ええ」

「ロンドンの、まともな娘なら・・一人で、この辺に立ち入ったりせんからな」

 

 

マスターの問いかけに応えようとしない女。怪訝な顔をするマスターだったが、そこへ2人の男が入って来た。

さっきの外交官殺しで現場検証していた刑事だった。

刑事が入って来た事に気づき、中の男達はどよめく。刑事達は、奥のカウンターのゴルゴに気付き、歩み寄る。

その間に、中から逃げ出すチンピラ達。刑事はゴルゴにパスポートの提示を促す。黙ってパスポートを見せるゴルゴ。

 

 

「旅行者ですか?

 ロンドン警視庁の者ですが、パスポートを見せて戴きますか?・・東郷鷹司、国籍・日本、旅行の目的はビジネスですか?」

「・・そうだ」

「どのようなお仕事を?」

「バイヤーだ」

「・・どうも失礼しました。この辺はタチの悪い連中が多いので、面倒が起きない内にホテルに戻られる様、忠告しておきます」

 

 

その間に、中から逃げ出すチンピラ達。刑事は、それを横目で見ながら見下していた。

 

 

「一体・・何事ですか、刑事さん? ウチの店にはヤクをやってるヤツなんか出入りしちゃ居ませんがね?」

「町のチンピラ共に、用は無いんだ」

「と、いいますと?」

「1時間程前、ロシアの外交官が殺害された」

「それで・・その犯人が、このペチコートレーンに逃げ込んだと?」

「そうとは限らないが、非常線を逃れるには・・ダウンタウンに潜り込むのが一番だと思ってね? そういう訳だ・・何かあったら知らせてくれ」

「へい・・判りました」

 

 

刑事の喋る最中、女は縋る様な視線をゴルゴへと投げ掛ける。

だがゴルゴは、黙って水割りを飲むだけだった。飲み終わると、代金をテーブルに置いて立ち去るゴルゴ。

 

 

「殺しだってさ・・道理で、今晩はパトカーのサイレンの音が煩い訳だ・・お気をつけて」

 

 

女は、バーを出たゴルゴを追った。

それに気付くも、ゴルゴは黙って立ち去ろうとする。そんなゴルゴを、女は呼び止めて駆け寄る。

 

 

「お願い・・待ってっ!・・私を買って?」

「・・プロでも無い女が、どうして身体を売ろうとする?」

「その訳を言わなければダメなの?」

 

 

沈痛な顔をして俯く女。そこへ一台の車が近づくと、中から発砲した。彼女を庇い、銃弾を避けるゴルゴ。

車は前方に止まり、二人の男が降りてくる。ゴルゴと女は、車の物陰に隠れる。

男の一人を殴り倒すと、銃を奪い一人を撃ち倒す車は急発進して逃げ去り、ゴルゴはもう一名を射殺した。

 

 

「・・強盗なの?」

「・・いや、強盗なら闇討ちはしない」

「・・私を買ってくれる?」

 

 

ゴルゴが謎の男二人を射殺したのに、平然として自分を売ろうとする女。

果たして女の正体は? 襲って来た男達の目的はゴルゴなのか・・それとも?

 

 

 

前半終了

 

 

 

あるホテルに入った二人。女は服を脱ぎ始める・・理由を語りながら。

 

 

「貴方に買って欲しかったのは、この身体なんかじゃないわ。

 女としての馬鹿馬鹿しい観念・・嫌になった今の自分。旅行者の下らない気紛れと取って貰って良いわ。

 でも・・どうして貴方を選んだのかしら? 多分、貴方の眼の中に・・現実離れした感情の無い光を見たからだわ」

 

 

服を脱ぎ捨て・・二人は情事に耽った。その外では、先程の襲撃者の仲間の車が止まっていた。二人の行方を突き止めたのだ。

 

 

「ねえ・・聞かせて? 

 さっきは何故、私を庇ってくれたの? バーで私が男達に絡まれていた時は、助けようともしてくれなかったのに」

 

 

この時、廊下を歩く靴音に気付く二人。部屋の鍵を外側から開ける音が、部屋の中に響く。

そして飛び込んで来る襲撃者2名。だが・・サイレンサー音が2発・・あっと言う間に倒されてしまう。

 

 

「・・ベッドの中にまで銃を隠していたの?」

「・・さっき殺した男が持っていた。急いで服を着ろ・・すぐに、此処を出た方が良い」

 

 

服を着替え、階段を下りると、フロントの女性が殺されていた。部屋の鍵は、彼女を殺して奪ったのだろう。

 

 

「あ・・」

「・・裏口から出よう」

 

二人はホテルの裏口へと回って、外へ出る。夜の町を走る2人・・だが、表通りには奴等の仲間が5人?

彼等に気付かれて撃たれるも、2人を反撃して射殺・・そのまま逃走した。

残った3人が、ゴルゴ達の後を追う。ゴルゴは、地下の下水道へと逃げ込んだ。

追って来る一人が下水道に入った処で射殺。残り2人が、下水道に向けて乱射・・ゴルゴ達は隠れながら移動する。

 

 

「・・今、ここから入ると、我々はヤツの餌食だ。お前は、別の入り口から入れ」

「・・判った」

 

 

生き残った2人の襲撃者は二手に分かれて挟み撃ちに掛かる。1人は銃を乱射し、近くに居ない事を確認して下水道へと侵入した。

その頃、ゴルゴと女は下水道の中を走っていた。ある程度、敵との距離を稼ぎ、休憩しつつ隠れる二人。

そしてゴルゴは・・女に問い質し始めた。

 

 

「・・今度は、俺が聞く番だ・・君の正体は何だ?」

「そう・・やはり、判っていたのね?私が、貴方と同じ種類の人間だって・・」

「・・犬の群れの中に2匹の狼は、お互いを感じあうという。それがオスとメスなら・・尚の事だ」

「バーで貴方を見た時・・ただの男では無いと感じ取ったわ。

 それが、何時かCIAのオフィスで見た重要人物ゴルゴ13と呼ばれる・・その男だと気付くのに・・大した時間は掛からなかった。

 常に敵の多い貴方なら、私の追っ手を自分の敵と思い違いして、撃退してくれるだろうと考えたのよ・・。

 私は、CIA・・コードネーム、レッド・ペッパー」

「・・あの外交官の事件は?」

「私よ。そう、バーを出て襲って来た男達も、ホテルへ乱入して来た男達も、貴方を狙っての事じゃなくて・・私を消すのが目的だったのよ。

 ふう・・私は世界で超一流のプロを、ちゃっかりタダで雇っていたって訳。ごめんなさい・・誰にも知られちゃいけないの」

「・・よくある事だ」

「出来る事なら・・静かに別れたいわね?」

 

 

そこへ追っ手が迫って来る。だが・・あっさりと二人の返り討ちにあってしまう。二人は・・その場を後にした。

 

その少し後、二人はビッグベンの見える川のほとりで立っていた。

 

 

「・・でも楽しかった・・貴方と居ると、普通の女に成り切れたから。何時から気付いていたの?

 ・・どうせなら、ずっと気付かない振りをして欲しかったわ。さようなら・・ゴルゴ13」

 

 

レッド・ペッパーは、別れを告げてゆっくりと立ち去り始める。

しかし・・急に立ち止まり、それを横目で見るゴルゴ。振り向きざま、レッド・ペッパーは銃をゴルゴへと向けた。

だが・・既に、ゴルゴは銃を構えていた。バ〜ン・・一発の銃声が轟く。

撃ったのはゴルゴであり、レッド・ペッパーの銃からは? 胸を撃たれ、地に膝を付くレッド・ペッパー。

 

 

「・・ついさっき、肌を合わせた男だから・・引き金を引けなかった訳じゃないの・・

 弾を・・使い切ってただけなの・・もし・・私が銃を向けなかったら・・私を許してくれた・・?」

 

 

そのまま倒れるレッド・ペッパー。その死に顔は、安らかであった。  

 

 

 さようなら・・アナタ・・

 

 

それを見て、銃を川へと投げ捨てるゴルゴの胸に去来するものは? ゴルゴは何も言わずに、その場を後にするのだった。

どんどんと霧が濃くなり、二人の姿を全て覆い隠してゆく。それは・・闇の世界に生きる者達の宿命なのだろうか?

ロンドンの濃く深い霧は・・何も語る事は無かった・・END。

 

 

 

ENDING

 

 

 

これって初期の話なんでしょうねえ。何となく思い出しましたが・・女スパイの末路って可哀想だなあと。

ゴルゴも、全て判ってて・・しかし何もせずに庇ったのが良く判らない。

でもまあ・・綺麗な終わり方ですね。取り合えずは、まずまずといった出来ではないかと。

 

原作を詳しく思い出せないのですが、上手く纏まってたんじゃないかと思います。襲撃者は多分、KGB辺りなんでしょうか。

細かな説明が皆無なので、その辺りは想像するしかないんですが。レッド・ペッパーの射撃の腕も見事でしたねえ。

ゴルゴは、まあ出鱈目な腕前ですから・・あんなの簡単なんでしょうけど。

こういった追いつ追われつみたいな展開は、スリリングで良いです。

セリフが少ない分、動きの少ない前半と相まって、意外と後半は楽しめたかな。

 

 

 

さて、次回ですが・・

 

 

 

「白銀の雪山に銃声が響き渡り、ゴルゴは一発の弾丸で2頭のムースを射殺した。

 狩猟違反として警察に拘束されるが、全ては思惑通りだった。

 ゴルゴは、ある人物暗殺の為、この地に現れたのだ。

 次回ゴルゴ13『 大きな口(ラージ・マウス)の湖上 』 ヤツの後ろに立つな! 命が惜しければ!」

 

 

 

あれ?・・これって全く思い出せない・・^^;

どんなエピソードだったかなあ・・まあ次回の楽しみって事で。

ではまた^^

 

 

11.08.05一部誤字修正 

09.01.28

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