「 ギアス真世界 」 短編 『 ある男の波乱万丈人生 』(加筆改稿版)

 

 

 俺は、平凡な人生を送ってる一学生だった。そんな俺が、ふと嵌ったアニメがあった。

 それは「コードギアス」という一人の男の悲劇の話だったんだ。

 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという薄幸の少年の短い生涯の記録。

 

 見終わって一言、何だかなあってボヤいた…そもそも、ゼロレクイエムって何よ?

 ルルーシュって、ちょっと自分を卑下しすぎちゃってるのが哀しいよね。

 それに護られてた筈のナナリーの、あの酷さ。騙されやすいっていうか、思い込みが強いっていうか。

 大体、枢木スザクってウザすぎの自己中心男なのに、こいつにルルーシュを否定する権利自体が無いよな。

 それに黒の騎士団の連中って…ホント、バカァ? 星刻にしろ神楽耶にしろ、何で信じちゃうんだろ。

 大体こいつらって、もっと頭の良いキャラだったよなあ。

 

 それにマリアンヌって、ちょっと酷くね? あれでホントに親かよ。

 結局は利己主義だったんだなあ…ちとルルーシュが可哀想すぎ。よくグレなかったもんだ。

 ルルーシュって、最後にC.C.(シーツー)が傍にいなかったら悲惨だったよなあ。

 

 色々と考えてると段々、腹が立ってきたので頭を冷やそうと外に出たら…あり?

 何で目の前にダンプカーが突っ込んで来てるの…おろ?? ちょっと、何でぇ〜〜〜〜?

 頭の中が真っ白になってく感覚…で、俺は意識が消えていくのを感じた。

 

 ああ、俺って死ぬのね。まあ良いか、別に後悔ないし。

 生まれ変わったら、次は波乱万丈な人生でも良いよなあ…とか思いつつ。

 俺は、この時に咄嗟に思った事を、後でどれだけ後悔したろうか?

 神様って絶対に意地悪で、性根が歪んでると俺は確信したね。

 

 どれくらい意識が無かったんだろか。気がつくと…何処だ、此処?

 俺が目を開けると…そこには、実に白〜い天井だけが見えました。

 

「…知らない天井だ(ふっ)」

 

 何とも、お約束なベタを…とか思いつつ、一度は言ってみたかったんだよなあ、これ。

 その時、俺は知らなかった。頭を抱える事になるなんて想像もしてないもの。

 普通は当然だろ? 目覚めると…そこは悪夢の世界でしたってか?

 何の冗談だか…誰か俺に、全部が嘘だって言ってくれえ〜〜〜。

 

「ふう…やっと目覚めたのね、よく寝てた事」

「ほよ?」

 

 俺は恐らく何処かの病院の一室に居るみたいだな〜とか思った。

 そして…目の前に居る美人を見て、頬が紅潮するのを覚えてた。

 腰まで届きそうな長い黒髪に巨乳で見事な、ないすばでぃ。誰よ、このべっぴん?

 しかし何処かで見たような。お姉さん、俺とつきあってぇ〜〜頂戴…なんちて。

 

「ずっと意識が無かったから、心配してたのよ…ビスマルク?」

「………え?」

 

 今…この美人、俺を何と仰いました? ビ、ビスマルクって…おいおい、まさか?

 

「え、ええと…あの…俺って…誰なんでしょうか?」

「ああ…どうも意識が戻ったばかりだし、大分と記憶が混乱してるみたいね。

 アナタは、ビスマルク・ヴァルトシュタイン。ナイトオブラウンズのナイトオブワンでしょう?

 私は、ナイトオブツーのマリアンヌ・オートリッシュよ」

「は、はあっ!?」

「ビスマルクの活躍で、反対勢力は一掃されたわ。もうシャルル皇帝陛下に弓引く者はブリタニアには居ないでしょう。

 でも、そんなにムチャしなくても良かったのに。ホント、ビスマルクらしいわ。

 さて目覚めたって医者に言ってこないと…ちょっと大人しくしてなさいね、良い子だから」

 

 マリアンヌは、医者を呼びに部屋を出て行った。彼女の後ろ姿を見送りながら、俺は呆然としてた。

 ちょっと何よ、この冗談みたいな状況は? 俺が…あのビスマルクゥ? 何でぇ??

 でも名前からして、まだ皇妃には為ってないんだマリアンヌって。

 そう思った時、いきなり記憶が流れ込んできた…ぐほ、知識の海に溺れそうな感覚。

 少し落ち着いてきた頃合に、シャルルへの強い忠誠の想いが見えた…妙に他人事だったんだけどさ。

 まあ、それはしゃあねえわ…俺自身はシャルルを実際には知らねえんだからさ。

 

 ははあ…シャルルって色々あったんだなあ…ほむほむ、そうなのかぁ。

 ビスマルクって、ずっとシャルルの選任騎士だった訳…もう戦友やね。

 へえ〜っ、俺ってV.V.(ブイツー)から<未来線を読む>ギアスを貰ってた訳か。

 

 テレビ放映時ではビスマルクのギアス取得の描写って、まったく無かったしなぁ。

 まあ恐らくシャルルは兄のV.V.(ブイツー)からギアスを貰ったんだろ〜けどさ。

 って、ちょいまていっ!? 俺がV.V.(ブイツー)から信頼されてるってぇ?

 ったく何の冗談だろか…ホント頭が痛くなってきたぜ、不貞寝してえ気分。

 

 それにビスマルクってマリアンヌに惚れてたみたいだけど、その気が俺には全く起こんないなあ。

 だってアレを知ってれば誰だって当然だろ〜に?

 それにシャルルの皇妃確実な女に横恋慕したって、しゃあないしな。俺は、別に良い相手探そっと。

 その頃、何でもブリタニアは国内外を巻き込んでの内乱だったらしい。

 

 今は皇暦1995年。皇帝シャルルに叛旗を翻した皇族達を根絶やしにした内乱。

 後に『血の十字架』の叛乱とか呼ばれる事件らしいけどさ。

 俺ことビスマルク・ヴァルトシュタインは、ナイトオブラウンズを率いてシャルルを護ってたそうな。

 で、ナイトオブツー『閃光のマリアンヌ』が、猛威を揮ったんだとか…

 千切っては投げをマジでやってたそ〜な…地獄が現世に降臨したとかなんとか…コワ(ブルッ)

 その最中に、俺はシャルルを庇って大怪我したんだそうな…1ケ月も意識なかったらしい。

 怪我自体は完治してたんで、暫くして退院した俺は公務に復帰した。

 

 何と言うか、この頃には既に左目のギアスを封印してたんだなあ。

 まあアレって反則的な力でもあるし、ムリもないのかな。使わなくたって、この身体って充分に化け物じみてるしなあ。

 だってよぉ、サージャントジャンプで5m以上も飛ぶんだぜ、何これ?

 握力は左右とも100k以上あるし、バーベルも300k上げるのよ。何なのよ、この凄い筋力はよ…100mを8秒で走るしさ〜。

 よく考えれば、あのスザクと生身で圧倒して戦えるおっさんだもん。

 そりゃまあ当然っちゃ当然かもしんないなあ…ガンガンと力が溢れてくんのよ。

 

 それに俺の愛剣がバカでかいのよ…コレってホンマに剣かねぇ?

 まるで金属の化けモンだな…剣というより鉄槌に近くねえか、コレ?

 何でもガリアの剣とか言うらしいが、出鱈目に重いのに軽々と振り回してるだぜ…この身体。

 ごく普通の一般学生だった俺がなあ…ったく何と言うか。

 まあ転生しちまったもんは、しゃあないでしょ…ポジティブポジティブ。

 そもそもネガティブ思考に嵌ってたら、すぐに死んじまうしさ。

 しかし、これから如何なるのかねえ…先が思い遣られるわ(溜息)

 まあ怪我は殆ど寝てるうちに回復してたのは幸いだったな…何とも御都合主義な話だこと。

 

 俺が公務に復帰した後、暫くは平穏な日々だった。

 皇族貴族の反対勢力は一掃してるし、もう国内は問題ないだろなあ。

 だけど、これから少しして海外への侵略が始まっちまった。

 植民地政策による富国強兵…そういえば俺も、しょっちゅう戦場に駆り出されてたっけな。

 シャルルには、既に実子の第1皇子オデュッセウス、第1皇女ギネヴィアだろ。

 それに第2皇子シュナイゼル、第2皇女コーネリア、第3皇子クロヴィスが居た。

 マリアンヌは、この時の功績で皇妃に取り立てられたんだそうな。

 元々が同志的意味合いの強い二人だったから、まあ当然の結果かもなあ。

 

 V.V.(ブイツー)が妙に嫉妬むき出しの視線も、アイツがブラコンだったせいだろ。

 このせいで殺される訳ね、マリアンヌもさ…アーメン。

 俺はシャルルの選任騎士だったから、当然独身ですわ。

 それも空しい気がするが、まあ女は一杯いたからよ…あはは(苦笑)

 ナイトオブラウンズって貴族からも羨望の身だから、貴婦人とか令嬢からの色々とお誘いも意外と多い訳よ。

 浮気相手には丁度手頃なんだろうなあ…基本的にラウンズって口は固いのばかりだからね。

 

 今の俺って筋肉の化け物男だから…まあ、そっちも凄い訳でねえ。

 この身体って、精力絶倫だったから、もう毎晩、誰かと夕焼けニャンニャン…ごほごほ。

 昔の貧相な身体だった頃を思い出すと格段の相違なんだけど、生まれ変わって良かったのってコレだけちゃうか?

 妊娠だけは注意したけどね。一応は火遊びの範疇になるから…双方合意の上の関係でもさ、ちとヤバイでしょ。

 

 どうもブリタニアって、そういった倫理観が欠けてるんだよなあ。

 皇族同士、兄弟姉妹同士で婚姻もザラみたいだからさ。まあ、皇族女性も何人か関係してんだよなあ。

 名前は言うと拙いんだけど、某皇女なんかともしてるよ。行かず後家にならなきゃいいんだけどな?

 気が強いわ、浪費家の上に我侭だからなあ…可愛いトコはあるけどさ、ちょっと俺の好みじゃないんだよな。

 身体の相性自体は悪くないんだけど、良い相手ってのもなあ…どうせ政略結婚だろし。

 

 …そして遂に運命が動き出しちまったのさ。実際の話、生まれてきて良かったのかねえ、この二人って………。

 

 皇暦2000年、第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア誕生。

 皇暦2003年、第7皇女ナナリー・ヴィ・ブリタニア誕生。

 

 何と言うか悲劇の兄妹だとしか言いようがねえが、でも俺は皇帝の騎士だしさ。

 まあマリアンヌとは旧知だったから、よくアリエスの離宮には行ってた。

 そうそう、父のシャルル自体がアリエスに来る事が少ないんだよ…あの不器用親父。

 そのせいかルルーシュもナナリーも強面な面構えの俺なのに、懐いてくれたのが意外だった。

 左目を縫ってるし子供に泣かれた事は一度や二度じゃないから、かなり落ち込んだ事もあるんだよな。

 それ見て、マリアンヌのヤツが楽しそうに笑ってやがった…あん畜生は絶対にSだ。

 アイツって意外にトラブル見るの好きなんだよ…知らなんだわ。

 

 でもまあ、ひょっとしたら二人とも俺に強い父親のイメージを持ったのかもしれないなあ。

 そんな光景をマリアンヌが優しい顔で二人を見つめてたんだが…何故だ?

 どうして未来でマリアンヌは、この二人を見捨てちまったんだ?

 シャルルも、あそこまでしなくても良かったんじゃねえのか?

 どうにも疑問に思った俺は、アーカーシャの剣でシャルルと二人きりの時に尋ねたんよ。

 

「陛下…何故に、アリエスに行かれないのでしょうか?」

「ビスマルクよ…私は、兄が心配なのだ。

 マリアンヌに害を及ぼすように思えてならぬ…ルルーシュやナナリーもな。

 だからこそ、出来るだけ離れておる…なんとも辛い事だな?

 親だというのに…私には一番大事な子供達だからこそ、兄から護りたい」

「陛下……」

「お前も忙しい身ではあるが、時間があったら様子を見てきてくれ。

 すまぬな…私は強き自分を演出し続けなければならんのだ…皇帝として」

 

 やっぱシャルルって不器用な親父だったんだな。子供への愛情…それを隠さなければならないのはキツイよ。

 シャルルは苦しんでた。だからこそ、俺は何とかしたかった。でも…自分の無力を思い知らされる事件が起こっちまった。

 皇暦2009年、アリエスの悲劇だった。

 

 その事件が起こった時、俺は国外に居たのさ…エリア9の叛乱鎮圧の為だ。

 後から知った話だけど、どうもV.V.(ブイツー)が俺を遠ざけてたらしい。

 マリアンヌ暗殺計画を知られたら邪魔するだろうと思ったんだろなあ。実際、邪魔しただろうからヤツには正解だった訳だ。

 急遽、国に戻った時にはルルーシュがシャルルに罵倒されてた訳。お前は死んでる云々の例のヤツね。

 全くなあ…危ないから自分を悪者にして遠ざけるのは良いけど、

 何で何れ宣戦布告する日本に目も見えず歩けないナナリー共々…やるせねえわ。

 

「陛下…ルルーシュ様、ナナリー様を如何なさるおつもりなのですか?」

「解っておる…だが兄が、あの二人の命をも狙っておるのは確かなのだ。

 兄は、私に嘘をついておる…よもやマリアンヌを殺すとは…暴走しておる。

 ビスマルクよ…すまぬが陰ながら二人を助けてやってはくれぬか?」

「解りました…そういえばマリアンヌ様には、後見にアッシュフォードが居ますな?

 名目的に、彼等に手助けさせては如何でしょうか? 私も、二人を陰ながら援助したいとは思いますが」

「ルーベンか…ふむ、そうじゃな」

 

 その後、シャルルはルーベンを説得し、アッシュフォードは伯爵の地位を失う事になった。

 全てはルルーシュ達の為だと納得の上で、ルーベンは身内も欺いて真意を隠した。

 ルーベンは1年後、戦後に日本…エリア11へと向かう事になる。

 

「ルルーシュ様…」

「ビスマルク…僕は日本に行く事になった。もう二度と逢えないだろうな」

「そんな事はございませんよ。良いですか、殿下…諦めたら全ては終わってしまいます。

 希望を捨てないで下さいませ。私めは、ずっと殿下の味方でございます…忘れないで下され」

「有難うビスマルク…それだけで、僕は悔いなく日本に行けるよ」

 

 数日後、ルルーシュとナナリーは日本へと旅立っていった。

 二人が日本で、どれほど苦しむのか判っているだけに辛かった…俺は無力だ。

 

 そして1年後…皇暦2010年8月10日、神聖ブリタニア帝国は日本に宣戦布告した。

 電撃的な攻勢の末、あっという間に日本は降伏…枢木ゲンブ首相の死というアクシデントもあってだが。

 歴史って、基本的には変わってないよなあ? 枢木スザクって、また父殺しの外道か…アイツの本質ってタチ悪いぜ。

 日本占領には俺も参加していた。そして俺は戦乱の最中、ルルーシュ達の行方を追っていた。

 ようやく発見し秘密裡に保護した俺は、二人をルーベンの元に送り届ける事に成功する。

 

「ビスマルク…」

「無事で何よりでした殿下…ルーベンには言い含めております。

 お二人共、暫く身を隠して居た方が宜しいでしょう。それで一つ、申しておきたいのですが……」

「何だ?」

「陛下は決して殿下が可愛くないのではありません。実は…マリアンヌ様と同様に、お二人共の命を狙う者が居るのです」

「僕達を? 何の価値もないだろうに…」

「今は申せませんが、その為に陛下は私に命じられたのですよ…お二人を護るようにと。

 このエリア11に長居出来ないのが残念ですが。私めも出来るだけ、こちらへ向かうようにしますから」

 

 ルルーシュの目に激情が見える…そりゃ誰しも怒るわ。

 母親を殺され、自分だけでなく愛する妹まで命を狙われてるなんて知ったらムリもねえさ。

 兎も角、暴発しないように釘を刺しておかんといかんか…ホントに柄でもねえが。

 

「ビスマルク…誰が母を殺したんだ…犯人は誰なんだっ!?」

「犯人の確信はしていますが、残念ながら証拠がありません。

 事が解り次第、必ず私めが殿下に報告を致しますゆえ今は御勘弁の程を」

「解った…ムリを言って済まない。もう僕が信用出来るのは、お前だけに為ってしまったな」

「いえアッシュフォードは信用出来ます。申し訳ありませんが暫く名を変え身を潜めて下さい。

 何時か必ず捲土重来の時期は参りますゆえ、ムチャは為さいませんように…良いですね?」

「ああ(苦笑)…充分に気をつけるが、お前も危険な事はするなよ?」

「まあ荒事には慣れてますゆえ、ご心配なく」

「おいおい…ははは(涙)」

「ははは(涙)」

 

 ルルーシュは苦笑いしながら涙を流していたが、俺も何時の間にか目から汗が止まらなかった。

 彼が俺の身を心から案じているのが、痛い程に俺の身体全体で解るからだろう。

 そうだな、そう簡単には死ぬ訳にはいかんさ…今の俺はナイトオブワンなのだから。

 何としても足掻いてやる…ルルーシュを救う為なら苦にも為らんさ。

 

 俺は、それから時間が取れればエリア11に向かうようになった。

 ルルーシュとナナリーは、行方不明扱いにしてもらった。だから皇位継承権も、そのままに為ってる。

 偽善かもしれないが、俺は出来る事ならルルーシュに兄妹殺しをさせたくなかった。

 ルーベンとミレイの手引きで俺は来日する度、秘密裡に二人に会っていた。

 ナナリーは穏やかになってるが、どうしても兄への依存性は強そうだ…ムリもない話だが。

 

 その頃、V.V.(ブイツー)はギアス教団を中華連邦の辺境に移していた。

 どうやらヤツは、ルルーシュ達が死んだと思っているようだ。

 俺も、ヤツに気付かれぬよう細心の注意を払う必要があった。

 流石にヤツは読心術を持ってる訳ではなかったから、なんとか誤魔化せたが。

 どうも、そうとう多くの孤児が浚われ実験材料にされてるようだ。

 

 シュナイゼルも、この頃からシャルルに対して何か目論んでいる。

 一番の問題がトロモの作ってるダモクレスと、インヴォーグのフレイヤか。俺はラクシャータに事情を話し、キョウトと接触させた。

 もしニーナがいなくても開発させてる以上、何時か完成するだろう。なら先に手立てを色々と巡らせておく必要があるしな。

 さてと…実際は、どうなるんだろうなあ?

 

 皇暦2017年、シンジュクゲットーでの毒ガス事件が発生した。

 やっぱりルルーシュとC.C.(シーツー)が出会ったんだなあ。

 C.C.(シーツー)の事は探してたんだけどな…如何にも上手くいかなかった。

 クロヴィスとシュナイゼルが上手く隠蔽工作してたから、何も証拠が無かったんだよ。

 そもそも下手に皇族に、俺なんかでは手出しが出来ないじゃんか。

 

 クロヴィスは死ななかったが、シンジュクゲットーの惨殺の件で失脚し本国へと戻された。

 皇位継承権も大幅に格下げされたが芸術家宣言しちまった…その方が幸せかもしんねえな。

 で、ジェレミア達純血派が暴走してエリア11の実権を握ったとさ。何だかなあ…オレンジ君って、何をしてるのやら。

 クロヴィスの親衛隊全滅の犯人を、枢木スザクに押し付けて。

 

 それでさあ、やっぱり出ましたよゼロが…ルルーシュって意外に目立ちたがりなのか?

 やっぱ歴史って、大きく変わりそうもないんだろかと落胆しちゃうぜ俺。

 シャルルへの恨みっていうより、今回は母を奪ったブリタニアに対する怒りみたいなものなんだろうけど。

 代わりに派遣されたのがコーネリアとユーフェミアの姉妹だった…って、またかよ。

 サイタマ、河口湖、そして黒の騎士団、ナリタの攻防…。

 歴史は俺が知ってる通りに流れてるが、俺は本国で身動き取れない状況にあった。

 忸怩たる思いだった時期でもあるよなあ、この頃って。

 

 紆余曲折が色々あって…結局のところは、スザクがユフィの騎士に為っちまった。

 神根島の一件、キュウシュウ戦役、そして学園祭宣言。

 行政特区日本にシュナイゼルの策謀、挙句の果てにギアスの暴走が…くそう。

 血塗れユフィか…やっぱユフィは虐殺皇女になっちまったな。コーネリアは重症で、本国で入院生活してるよ。

 ブラックリベリオンを経て、V.V.(ブイツー)がナナリーを浚って来た。

 

「ビスマルク、君は覚えてるかい…この娘?」

「ま、まさか…ナナリー皇女様?」

「やっぱり覚えていたね…まあ当然だけど、君は彼女とも良く逢ってたもの」

「い、生きておられたのですね…ではルルーシュ様も?」

「隠れてたみたいだよ…でさ、ルルーシュってゼロなんだよね?」

「ま、まさか…そのような事が?」

「今、枢木スザクってイレヴンが連れてきててさ、出世の為には友も売る外道男みたい。

 どうするかなって考えてたら、シャルルがルルーシュの記憶を改竄しちゃったよ。

 ルルーシュって今までの事を全部、忘れたみたい…全てはC.C.(シーツー)を誘き出す餌さ」

「C.C.(シーツー)をですか…ラグナレクの為でしょうか?」

「そういうこと…彼女のコードもないと上手くいかないみたいなんだ」

「何とも難しいものですな」

「そうだねえ…ま、僕の役に立てるんだから彼も本望じゃないの?(ニヤニヤ)」

「全てはラグナレク成就の為…」

「そう、これからも頼むよビスマルク。君は本当に頼りになるよね」

「……恐縮です」

 

 このクソガキがっ! 好き勝手な事ばかり抜かしやがってえっ!!!

 俺は内心の怒りを必死に堪えていた…この外道を殴りたくなるのを。

 外見上は眉一つも動かさずに冷静な振りを装って、V.V.(ブイツー)に礼を取った。

 ったく俺も外道に落ちぶれたもんだぜ…だが今は堪えるしかねえんだっ!!

 

 そして枢木スザクは、やはりルルーシュを売った功績でナイトオブセブンとなった。

 だがこの俺が貴様なんぞをナイトオブゼロには断じてさせんわっ!

 わが世の春は長く続かないって事を、この俺が貴様に思い知らせてやるぜえっ!

 この屑野郎を何時の日か必ず報いを与えたると俺は、心に固く誓った。

 

 そうそう、ナナリーにも何回か逢いに行ったが、その時に色々と話した…内緒話さね。

 しかしまあ彼女も人が悪くなったなと、つくづく思ったもんだ…女は怖いぜよ。

 実際のところ、女って幾つの硝子の仮面を持ち合わせているのやら?

 真実を知った時の彼女の後ろに真っ黒な凄まじい瘴気が見えたぜ。

 俺よりも前にナナリーの手に掛かるやもしれんな…あの屑騎士はよ。

 

 そして、それから1年の刻が過ぎ去って…遂にゼロが復活した。

 スザクはジノやアーニャと共にエリア11に、ナナリーは少し遅れて新総督として着任した。

 しかし太平洋上空で、どんな話をしたんだろなあ…あの二人はよ?

 実はナナリーには、ゼロがルルーシュだと俺から教えてあるからさ。

 で、やっぱスザクのバカが邪魔したみたいだよ…ホント、相変わらず無粋なやっちゃ。

 撤退したルルーシュは、メタンハイドレードでエリア11の艦隊を誘き寄せて全滅させた。

 

 その後、ナナリーが提唱した行政特区日本構想に対して、百万のゼロのキセキを行ってエリア11を去った。

 まあ色々とルルーシュが、裏からナナリーに助言したみたいだけどね。

 どっちにしろ中華の件は、俺には何もタッチ出来なかったからなあ。

 前と同じく宦官達は失脚し天子は解放されたけど、やっぱりカレンは捕虜になった…あらら(苦笑)

 急ぎ俺はローマイヤに連絡して、スザクに下手な真似をさせないように指示をした。

 一応は彼女って名門シュタットフェルト家の唯一の後継者だもの。

 それに屑野郎にリフレインなんか間違ってカレンに打たれたら困るしさ。

 

 で、何でローマイヤに直接、命令したかというとだね?

 実はローマイヤって俺の内縁の妻だったりするのよ、これがさ〜あはは(真っ赤)

 意外かもしんないけど、彼女って意外に可愛いんだぜ?

 確かに性格はキツイし外見は冷徹そうに見えるんだけど、俺には優しいもんね。

 メガネ美人だけど、それを外すとべっぴんで俺好みなのよ、これが。

 胸もデカイし、巨乳好きな俺には垂涎モノだったりして。

 

 知り合ったのは病院なんだけどな…彼女ってコーネリアの部下だったんよ。

 TV見てる時は何とも思ってなかったんだけどなあ。実は一目惚れです、恥ずかしながら(苦笑)

 速攻でデートに誘って、その日の内に大人の関係になりました〜〜あはは。

 おい、そこの僕…鬼畜やわ〜なんて言っちゃあかんよ?

 

 だけど今、俺は結婚出来ないし…何故かというとナイトオブラウンズは結婚出来ないのさ。

 皇帝陛下の選任騎士だからなあ…ローマイヤには悪いけど彼女も納得済み。

 まあ全部、済んだら所帯を持てればいいなあと思ってんだけど…ムリかもしんないな。

 

 その少し後、ギアス教団が壊滅した。その時にV.V.(ブイツー)が死んだ。

 やっぱシャーリーが死んだんだなあ…ジェレミアもルルーシュのとこへ行ったか。

 V.V.(ブイツー)のコードもシャルルが奪い去った訳ね。

 アーカーシャの剣も壊れたそうだから、歴史のままか…これからどうすべ?

 もしアレはアレでなったら…まあ、そんときはしゃあない。

 

 実際の話、シャルルの気持ちも判らんでもないしなあ…マリアンヌはともかくさ。

 俺は苦しんでるシャルルを止める気になれなんだ…何処まで不器用なんだか?

 ルルーシュを追い込むみたいな演説してよ。

 ひょっとしたらアイツ、自分をルルーシュに止めてもらいたかったのかもしれんなぁ。

 …自分が暴走してるの覚悟の上で……さ。

 

 超合集国が設立され、完全に世界は二分されちまった。

 俺も当然ながらエリア11の防衛に回された…前回同様カゴシマ租界にね。

 やっぱ星刻って大した腕前だったけど、所詮はエクスカリバーの敵じゃないのよ…ぐはは。

 

 ナイトオブテン君は吸血鬼らしく、やっぱり外道でした。

 戦いたいんだろなあ…いそいそとトウキョウ租界に行きま〜すって。

 そんなに早死にしたいとは実に変わったヤツだと俺は思うのだが、案の定の結末だった。

 やっぱカレンの紅蓮聖天八極式にさ、あっさりとヤられたそうですわ…アーメン。

 

 その後、フレイヤでトウキョウ租界が壊滅したそうな。ニーナは、ラクシャータが何とか逃がしたんだけどなあ。

 実は今回って、ニーナはユフィと全く逢ってないんだよね。

 だけど結局は、インヴォーグの連中がフレイヤを作っちまったのよ。

 歴史って変わらんのかねえ…ローマイヤもナナリーと行方不明だし泣いたよ、俺。

 

 その隙にシュナイゼルが動いて、黒の騎士団がルルーシュを裏切った。

 ルルーシュ、今回も何とか辛くも逃げれたみたいで良かったわ。

 ホント…アイツ等って単純すぎだよ、アホのバカタレ団。

 枢木のヤツはシュナイゼルに取り入ったらしく、シャルル暗殺に向かったってさ。

 

 俺は当然ながら神根島に居た訳だ…スザクを殺す為に待ち受けてね。

 生きろってギアスが掛かってるけど、コイツだけは生かしちゃおけない。

 大体さあ…ブリタニア騎士の事を何も判ってねえよな、コイツは。

 主君に弓ばかり引くんだもの…常識外だぜ…害かよ(苦笑)

 

「ほう? シュナイゼルの差し金か」

「自分の意思です。貴方を生かしてはおけない」

 

 シャルルに切り掛かるスザクの十字剣を、ガリアの巨大剣で受け止める俺。

 きゃ〜、俺ってカッコ良い〜。ふっふっふ、渋さが光るぜ。

 

「それを言う資格は、貴様になど無いっ!」

「ヴァ、ヴァルトシュタイン卿…如何して此処に?」

「貴様のような裏切り続きの男などを、誰が信じるものか」

「く…」

「ビスマルクよ…俗事は任せる、良いな?」

「Yes…Your Majesty」

 

 ずっと待ってたぜ…この時が来るのをよ。

 奸賊枢木スザク、ローマイヤとナナリーの仇を撃たせて貰おうかっ!!

 

「行かすかっ!」

「愚かだな…枢木、貴様の存在そのものがルルーシュ殿下を不幸にする事を」

「何?」

「貴様さえいなければルルーシュ殿下も、ナナリー殿下も…な。

 お前の存在そのものが罪だ。父親殺しだけでなく…全てを裏切り続ける。

 友を裏切り信頼する者すら見棄てる、そんな貴様に何があるというのだ?

 そしてナナリー様を死なせたのは貴様の重大な責だ…ローマイヤもな」

「ローマイヤ?」

「彼女は、俺の大事な女性だった…それだけでも貴様を殺す理由で充分!

 貴様が生きている限り、これからもルルーシュ殿下は地獄を見る事に為ろう。

 それだけは断じて看過出来ぬ。貴様だけは俺の手で…滅するまで。死ねっ!」

「誰がああっ!!!」

 

 枢木のヤツと剣を交えつつ、俺は左目の封印を解いた。

 久しぶりに全開で戦ってやる。やってやるぜっ!

 

「ま、まさか貴方もギアスを?」

「ギアスを知ってるのが貴様だけと思ったか? 貴様の呪いが勝つか、俺のギアスが勝つか…勝負だっ!」

 

 ほう? 動きが変わったな…これが生きるという呪いのせいか。

 しかし流石に化け物じみた動きをするヤツだな。だが剣筋は甘い…所詮は自己流だな。

 肉弾戦には向いてるようだが、剣の腕前は俺の方が格段に上だ。

 俺は剣戟の最中、隙を見つけ空中に弾き飛ばすと、そのままヤツの足をなぎ払う。

 ヤツの足は無残にも俺の剣で引きちぎれた…最早終わりだ。

 足から血を吹き出しながらヤツは無様に倒れた。

 

「ぐわああ…」

「そのままでも出血多量で動けぬまま死ぬだけだが…それもな。これは俺の慈悲だ…あの世で、待っておれ」

「何故…僕が…こんなところで死ななければ…」

「貴様は、地獄に落ちる運命だったのだろうな…さらばだっ!!」

 

 グサっ! 剣をヤツの心臓に突き立てると…ヤツは絶命した。

 これで歴史は変わるだろうか? ゼロレクイエムだけはさせてなるものか。

 さて、そろそろマリアンヌも来る頃だな…っと、来たかモルドレッド。

 俺の前に着陸したモルドレッドから、アーニャとC.C.(シーツー)が降り立った。

 お〜お、アーニャの両目が真っ赤っ赤でマリアンヌバージョン全開ってところか。

 

「何しに来たアーニャ…とはヤボか、行くのか……マリアンヌ?」

「ええ…私の事が判ってたのねビスマルク。ところで貴方が枢木を殺したの?」

「こいつは裏切り者だからな…C.C.(シーツー)、ルルーシュ殿下を頼む」

「ビスマルク…お前?」

「早く行きなマリアンヌ、C.C.(シーツー)…たまにゃあ親子喧嘩も良いもんだ」

「酔狂なヤツだな…まったく」

 

 二人を見送った後、遠くから爆発が聞こえてきた。あの名場面だな。

 BGM流しながら今、ルルーシュのヤツ歩いてるんだろか?

 サザーランドの槍の通路を通りながらさ…ったくアイツってカッコつけだもんな。

 でも、あのBGMってカッコ良いよな〜。「Beautiful Emperor」だったっけか。

 勇壮な音楽だったよなあ。意味は無い場面なんだけど、誰も見てないのに。

 見てるのって視聴者だけだもんな。まあカッコ良いからオーケーって事で。

 

「我が名はルルーシュ・ヴィ・ブリタニア!

 マリアンヌ皇妃が長子にして、帝国に捨てられし皇子なり。

 止められるモノなら止めてみよ! 我が絶望に敵う者が居るのならっ!」

 

 さて…と、ジェレミアに連絡を取らんとな。アイツを黒の騎士団に置いとけないからさ。

 内容を言えばアイツなら判るだろ…ルルーシュの忠実な騎士だし。

 モニカ、ドロテア、ノネット達ラウンズの皆にも全部、話さないといかんな。

 ジノは…と、そういえばシュナイゼルのとこで囚われの身だったか、今は。

 だがグレートブリタニアを、シュナイゼルには絶対に渡せんからな。

 アヴァロンへ顔を出して少し時間を稼ぐとするか…ここからが正念場だ。

 

 俺はアヴァロンに赴き、シュナイゼルに俗事の件を話す…まあ少し脅しながらだが。

 こいつって良く考えるとハッタリばっかだよな。口先三寸で、人を騙す誑し男でしかねえ。

 こんなヤツを誰が信じれるかい。そもそも背中で冷や汗掻いてるのミエミエじゃん。

 

 ん?……全て終わったか。シャルルも死んだようだな。親子喧嘩は、やはりルルーシュの勝ちか。

 多分、シャルルも覚悟の上だったんだろなあ…俺は落ち込んだ振りしながらコイツの前を去ろっと。

 俺は呆然とした演技をしながらシュナイゼルの前から去った。

 カノンが呼び止めようとしたので殴り倒してやった。この優男、前から嫌いだったんだよな。

 銃を向けたもんだから、ムカついてヤツの右腕ごとブった斬ってやった。

 

「この無礼者がっ!!」

 

 皆、怖気てたわ。気持ち良かったねえ…シュナイゼルのヤツ、ブルブルと震えてたよ。

 初めてみたな、アイツが表情を変えたの?

 俺は貴様の思い通りにはならんぜ。絶対に貴様の策略なんぞ阻止してやる。

 ルルーシュだけにでも、優しい未来を作ってやりたいじゃねえか。

 死んだナナリーの分もよ…もう俺は覚悟を決めてた。

 

 多分ローマイヤを失った事で、俺も現世の未練が無くなってたんだろうなあ。

 ちなみに出血多量でカノンは死んだそうな。ヤツの片腕、上手い事もぎ取れたな。

 ディートハルトなんか使い者になる訳ねえよ…あんなペテン師なんぞ。

 コーネリアは、まだ本国の筈だからな…ギルフォードも一緒だし。

 さて神根島に戻ろっと。ルルーシュに逢わないと…その前にジノを救い出さんといかんな。

 俺はジノと共に神根島に向かった。ルルーシュとC.C.(シーツー)、アーニャを迎えに行く為に。

 

 そして1ケ月が過ぎ、ルルーシュが99代ブリタニア皇帝に即位した。

 その前にオデュッセウスやギネヴィア、クロヴィスやカリーナには事情を全て話してある。

 俺はナイトオブワンのままだし、ラウンズは全員そのまま…叛乱なんてせんよ。

 可哀想なんだよ、ルルーシュはさ? ナイトオブゼロ枢木スザクも、今回はいないしね。

 問題はダモクレスだが、ロイドとセシルとラクシャータに命じてアンチフレイヤシステムを急がせてる。

 ラクシャータは、ナイトオブツーとなったジェレミアに救出させた。あの神根島の混乱の隙にね。

 しかしまあアヴァロンを放棄するとは思ってなかったな。

 ダモクレスとフレイヤがあれば充分だと思ってるんだろうが……。

 

 ギアスの事だけは、流石のラウンズの皆もショックだったようだが…ムリもねえさ。

 だけど陛下の意思も皆に話してあったから、納得してルルーシュに仕えている。

 でもさあ…黒の騎士団と超合集国はシュナイゼルに付いた。

 ホントにバカだったんだなあ、あいつらって。結局はエリア11のフジで決戦になっちまった。

 敵を引き寄せながらフジのサクラダイト鉱山を爆破した時、黒の騎士団は半壊。

 まさか、フレイヤをそこに撃ち込むとはシュナイゼルも外道だったなあ。

 ったく蓬莱島にまでフレイヤ撃ちやがって。

 その時、そこに超合集国首脳も全員が居たそうでね…まあ大掃除のつもりかな。

 

 斑鳩諸共、黒の騎士団は壊滅したよ…哀れだったなあ、天子も神楽耶も気の毒に。

 藤堂もカレンも扇のクソ野郎も、自称ゼロの親友の玉城や杉山、南や騎士団員全員がフレイヤの閃光に消えた。

 ところでヴィレッタはどうなったって?…誰それ。

 斑鳩か、蓬莱島と一緒にあの世だろうけど、結局のところ俺には関わりが皆無だったな。

 この場面をルルーシュのヤツが世界に放送で流してたから、シュナイゼルの酷さは世界中に知れ渡ったわけだ。

 超合集国も半壊状態だしね…なんせ首脳陣全員が死んだんだからムリもねえか。

 

 またカオスバカが、アホな事をしたのよ。

 わざわざシュナイゼルの「私は神だ。全人類は従いたまえ。」宣言を放映したもんだからさあ。

 それだけフレイヤの威力とダモクレスの防御に絶対の自信があったんだろうけど。

 貴様の持ってるのが最強の盾と矛であるとは限らないんだぜ?

 シュナイゼルのヤツも神を僭称するバカったれだったが、カノンもいないから抑えもいないしな。

 さて…邪魔者がいなくなったから、ダモクレスをブっ壊すかね。

 

 発射されたフレイヤにアンチフレイヤミサイルを撃ち込んだ。

 双方共、対消滅しておしまいって、何とも呆気ないね〜。貴様の最強とやらも、こんなもんさね。

 とはいえ間一髪のタイミングだったのは内緒だ(冷や汗)

 ラクシャータ達の作業が遅れてたら、負けてたのはこっちかもしれなかったな。

 俺はギャラハッドのエクスカリバーで、ダモクレスのブレイブルミナスをブった斬った。

 そこから突破口を開くと、ラウンズの皆と中へ突っ込んだ。

 逃げようとするシュナイゼルをガリアの剣で、けさ斬りしてやったぜ。気分良い〜。

 

 その横にカオス男がカメラを構えて映してたもんだから、横から真っ二つにしたった。

 ちょいスプラッタだったなあ…ちいとやりすぎに反省。

 でもローマイヤとナナリーをフレイヤで殺された身としては、敵討ちで成敗って事で大目に見てや。

 

 その後、ダモクレスは爆発炎上して太平洋の藻屑と消えちまった。

 まあ帝都ペンドラゴンは無事だったし、前回と大分ラストは変わったな。

 とりあえず神聖ブリタニア帝国が世界制覇の形にはなったんだけどさ。

 多分は民主制に移行するだろうが、人類社会は一つに纏まるだろ。

 

 全て終わって嬉しかったのが、ローマイヤとナナリーが無事だった事。

 何とかフレイヤの爆発からは逃げれたがシュナイゼルに捕まりそうになったんだと。

 それを助けたのがコーネリアらしいんだが、何時の間にコッチへ来てたんだ?

 まあアイツもシュナイゼルの怖さって判ってたんだろなあ。ギルフォードと一緒に救ってくれたらしい。

 感謝しきりな俺だったぜ。もうローマイヤと逢えないって思ってたから喜びも、ひとしおだった。

 その晩なんか久しぶりに逢ったせいもあって、寝ずに愛しあったもんだ。

 長い戦いも、これで終わったんだよなって実感してたよ。愛する女性とも一緒に居れるって嬉しいだろ、やっぱさ?

 

 暫くして、俺はルルーシュ陛下の許可を貰ってローマイヤと結婚した。そうそう…ナナリーも今、一緒に住んでるんだぜ。

 ローマイヤと、いや今はアリシア・ヴァルトシュタインだけどさ。新妻のアリシアと親子みたいで嬉しいぜ、俺は。

 ナナリーが小さい頃から見てるから、俺には娘同然だったからなあ。ナナリーもアリシアを慕ってくれてるのが嬉しいよ。

 命懸けで護ってくれたそうでよ…でも、ちょっと複雑な心境だ。

 俺とナナリーってアイツにしたら、どっちが大事なんだろなあ?

 とか思ってたらアリシアに腕をむしられた。真っ赤な顔しながら一言。

 

「……バカね」

 

 ……だぜ? こっちも恥ずかしいじゃねえか、ったく。

 それとナナリーの目が、フレイヤの時のショックで見えるようになったらしい。

 元々がシャルルのギアスだったし、まあ良かったわ。

 

 ルルーシュは善政をしてるし、世界から戦乱は消えた。C.C.(シーツー)はルルーシュの傍に居る。

 どうもシャルルのコードがルルーシュに行ってしまったらしい。だからギアスは、もう使えなくなったそうな。

 ある程度経ったら、表舞台から離れて二人だけで過ごすんだそうだ。ルルーシュも伴侶を見つけたんだな…良かった。

 

 まあ、俺も少しは役に立ったなら嬉しいんだが、世は事もなし……かな。

 

 

 

12.11.10加筆改稿版up

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